「ゴールデンパス」を歩もうとするとき、どのような人間観・世界観を抱いているかが決定的な影響を与えます。
たとえば、唯物的な人間観・世界観──科学がすべてであり、宇宙も人間も物質の塊で、すべては偶然の産物に過ぎない。人間も死んだら終わり。人生に目的や意味などはない。
そんな人間観・世界観を抱いているとしたら、ゴールデンパスは開かれません。ゴールデンパスを歩むためには、人間を永遠の生命と捉える「魂の学」の人間観・世界観が必要である、と著者は語ります。
「魂の学」の人間観・世界観とは、見える世界と見えない世界、物質の次元と物質を超える次元を合わせて受けとめるもの──。そして、人間は魂の存在であり、無数に張り巡らされたつながりの中で、魂の進化と成長のために生まれてくるというまなざしです。
今、多くの人々が、科学的な人間観・世界観で生きているかもしれません。しかし、近年、それを超える人間観・世界観に心を向け始めている人が増えているように思います。
以前、iPS細胞でノーベル賞を受賞した山中伸弥さんの講演を聴いたことがあります。
その中で、山中さんが、今は亡き父親について、「いつかあの世で、必ず父と会えると思っています……」としみじみと語っていた言葉が印象的でした。
一流の科学者の中には、唯物的な世界観に軸足を置きつつも、1人の人間として、それを超えた魂の人間観・世界観に惹かれ、深い共感を覚えている方が決して少なくないのかもしれません。
著者は、本書の中でこのように語っています。
──(人間も含めた森羅万象に対する)畏敬の念こそ、どんな宗教を信仰していても、またしていなくても、人間が失ってはならない普遍的な宗教性でしょう。私は、それこそ、ゴールデンパスを求める21世紀の時代精神の基になければならないものだと思っています。──
(編集部N)
『ゴールデンパス──絶体絶命の中に開かれる奇跡の道』(高橋佳子・著)
四六判並製 定価 1,980円(税込)