新刊『ゴールデンパス』の第1章では、「未来の記憶」によって、絶体絶命のピンチを回避し、想像もしなかった未来へと導かれた2人の経営者が紹介されています。
その1人は、運送会社の2代目社長だった北川盛朗さん。
北川さんの会社は、バブル崩壊で経営が悪化、メインバンクも破綻し、40億の負債を抱え、整理回収機構の管理下に置かれてしまいます。もはや会社再建の見込みはなく、北川さんは、会社を閉めるという苦渋の決断をします。
しかし、同時に、わが子を里子に出すような気持ちで、社員の方々の再就職先をお世話してゆきました。1人ひとりの行き先を見届けた北川さんは、心から安堵します。後は、残った2店舗の残務整理をするのみ──。
そのときです。1人の主任が、突然、「社長、苦しいけれど、一緒に挑戦しましょう」と言い出したのです。北川さんは驚きました。信じられない想いでした。
しかし、残っていたわずかな社員の気持ちは固く、北川さんたちは懸命に一から会社をやり直してゆきます。その結果、驚くべきことに、整理回収機構から離脱し、自立再生の道を歩み始めたのです。
著者はこう語ります。
──(北川さんが)会社を閉じようと決心したとき、意識にはまったく上らなかったとしても、心の深奥は、行き着く先を知っていた。その奇跡のような結果に行き着く未来を、どこかで思い描いていた──。まさに、未来の記憶に導かれたからこそ、1つ1つの分岐点で間違うことなく、最終ゴールに向かう進路選択を連ねることができたのではないかと思えるのです。──
(編集部N)
『ゴールデンパス──絶体絶命の中に開かれる奇跡の道』(高橋佳子・著)
四六判並製 定価 1,980円(税込)