新刊『ゴールデンパス』は、実に印象的な言葉から始まります。
東京オリンピック・パラリンピックを控え、明るい未来の予感に満ちていた2019年秋から、著者は、各界のオピニオンリーダーに出会うたびに、こんなことをおっしゃっていたのです。
──2020年はオリンピックの年と言われていますが、10年後、20年後から見たら、オリンピックの年としてではなく、経済、政治、その他様々な分野に大きな変化が起こった年として記憶されるでしょう。世界が光と闇に分かれてゆく分水嶺の年だったと言われるようになります──。
実は私も、昨年、著者からその話を直接お聞きしたことがあります。
しかし、そのときはまったく意味がわかりませんでした。
「オリンピックの年ではない? これだけ期待が高まっているのに、どういうこと? オリンピック以上の大きな変化? 光と闇?」
この言葉の計り知れない深さと重さを、ようやく感じ始めたのは、新型コロナの感染が広がり、深刻化したときでした。そしてその後の経過を目の当たりにするにつれて、言葉にならない驚きは、ますます強くなってゆくばかりでした。
著者は、いったいどうして、コロナの気配など微塵もなかった昨年秋から、どうして未来がわかっていたのでしょうか?
実は、本書『ゴールデンパス』には、「未来の記憶」ということが書かれています。
未来の記憶? 意味がわからないかもしれませんね。
誰もが過去を記憶し、思い出すことができるように、未来に起こることを記憶し、思い出すことができる──それが「未来の記憶」です。
この本の中には、「未来の記憶」によって、ゴールデンパスを開いた人たちが登場します。
(編集部N)
『ゴールデンパス──絶体絶命の中に開かれる奇跡の道』(高橋佳子・著)
四六判並製 定価 1,980円(税込)