高橋佳子著『自分を知る力──「暗示の帽子」の謎を解く』(三宝出版)を読まれた方なら、人間の心には4つのタイプがあることを思い起こされると思います。
「快・暴流」「苦・暴流」「苦・衰退」「快・衰退」──。これらはいずれも特有の闇や歪み、傾きがあり、まるで「暗示の帽子」をかぶってしまったかのように、誰もがそのことに気づけない。しかし、その「暗示の帽子」を見破り、それを脱いで、闇をとどめ、歪みや傾きを修正する方法が、『自分を知る力』に具体的に紹介されています。
その4つの心の転換は、ゴールデンパス──絶体絶命の中に開かれる奇跡の道を歩むうえでも絶対に必要です。
新刊『ゴールデンパス』では、その転換について、「カオス」と「受発色」(心)の化学反応の進化という角度から、新たな光が当てられています。
受発色の「受」は受信のはたらき。世界を感じ・受けとめること(感覚・感情)。「発」は発信のはたらき。感じ・受けとめたことを考え、行為すること(思考・意志)。「色」とはその結果、現れた現実のことです。
私は、この「受発色」という言葉は、人間の心のはたらきの本質を端的に捉えるだけでなく、その「心」と「現実」の関係をも見抜く、画期的なまなざしであるといつも思わずにはいられません。
以前、大学の心理学の教授に、受発色(感覚→感情→思考→意志というサイクルで心を捉え、それが現実を生み出す)のことをお話ししたことがありますが、そのとき、その教授は、「うーん、それは非常にうまい考え方ですね」といたく感心されていました。
この「受発色」と「カオス」による化学反応という観点は、とても新鮮に心に響きます。
化学反応とは、一般的には、「物質がそれ自身、あるいは他の物質と相互に原子の組み換えを行い、新たな物質を生成する変化」のこと。
すなわち、カオス(目の前の現実)が、1人ひとりの心(受発色)と化学反応を起こすことによって、カオスと受発色の原子の組み替えが起こり、新たな現実が生成されるのですね。
そして、ゴールデンパスを歩むためには、その化学反応を進化させなければなりません。
そのとき、大きな力を与えてくれるのが、「菩提心」──本当の自らを求め、他を愛し、世界の調和に貢献する心──です。
次回は、この菩提心のことを少しお話しさせていただきたいと思います。
(編集部N)
『ゴールデンパス──絶体絶命の中に開かれる奇跡の道』(高橋佳子・著)
四六判並製 定価 1,980円(税込)