高橋先生の新著、『共鳴する魂――書の響き、宇宙の響き』が発刊されました。
この本には、これまで先生が紡がれた数多くの詩の中からご自身が選ばれた20篇の詩とともに、その一節を描いた加藤シオーさんの書画作品が収録されています。
加藤さんは、日本や世界各地で個展やパフォーマンスを行う書家・現代アーティストです。
「魂よ 装いせよ」「つまずいたらゆっくりと立ち上がればいい」「爆発する意志を示せ。そうしないと見えないものがある」……など、30㎝×30㎝の大判サイズの用紙に描かれた書は迫力があり、力強いエネルギーが伝わってきます。
また、本の冒頭には、読む者の心深くに沁みわたるような、高橋先生の書き下ろしエッセイ「共鳴する魂への贈りもの」が掲載されています。
その一節をご紹介しましょう。
何かに心を震わすとき。誰かの言葉に、誰かの姿に、めざす目的に共感し、共鳴するとき──。小説でも、映画でも、ニュースでも、ある人の行動でも、心の底から震えるような感動を覚えるとき、そこには、魂の共鳴が起こっています。
私たちが自らの「魂」を見出すのは、そのようなときです。その瞬間、私たちは、自分自身の本質に触れています。内なる魂に、確かに近づいているのです。
人間の本質は、響き合うもの、共鳴し合うものだということです。
それが、私たちの中心に息づく魂の本質なのです。(略)
あらゆるものの源泉である宇宙と私たちの関係も、まさにその響き合いを基にしています。
人間の営みがいかなる変遷を経ていようと、宇宙の営みは、悠久の時の流れとともに、変わりない姿を私たちに見せています。
夜空に散りばめられた星々の瞬きを想ってください。
たとえば、北の天頂近くで常に変わらぬ輝きを放っている北極星が、いかなる時代においても、旅人にとって目的地への導き手であり、大海を航海する船にとって海路を示す命綱であり続けてきたように、満天の星々の光は、太古の時代から、人々の人生の闇夜を照らす神秘の光そのものでした。地上で生活を送る人間に、自分たちを超える厳かな輝き、大いなる存在の気配を伝えてくれるものだったのです。
だからこそ、人々は、神話の神々の物語になぞらえて、多くの星座を夜空に見出し、夜空と私たちの間に無数のつながりを確かめていたのではないでしょうか。
夜空に輝く星々を心静かに見つめるとき、私たちは、そこはかとない郷愁に誘われます。
星々の世界は、私たち自身の存在の故郷、大いなる源にほかなりません。
「私たちの還るべき場所はそこにある──」
子どもの頃、祖父母が天寿をまっとうし、年若い兄弟や従兄弟たちが病で亡くなったとき、夜空を見上げ、祖父母や兄弟従兄弟は星の1つになったのだと聞かされて、心の底からうなずく私たちがいました。
そして、無言で、彼方に輝く星の光を眺めながら、そこに亡き魂が囁き、語りかける言葉を聴いていたのです。
それは、科学的な理解とはまったくかけ離れた受けとめ方にほかなりません。
けれども、何と叡智にあふれた素朴な直感でしょうか。そのような受けとめ方は、星々の組成を化学式で知るよりも、はるかに宇宙の本質に迫っています。
そう受けとめるとき、宇宙は自分と遠く離れた単なる物質ではありません。
存在の深奥で私たちと響き合い、温かくつながっている親密な存在だったのです。
どれだけの人々が、星々の光に心を癒やされてきたでしょう。
遠く離れた星々の瞬きは、私たちの内側に染み入ってきて、心の琴線を震わせます。心の奥に同じ瞬きが生まれるのです。
傍には誰もいない。ときに見渡す限りの荒野の片隅で夜空を見上げるとき、人々は、言葉を超えた次元で、心震える想いとともに、自分の存在の故郷をその無限の漆黒に見出していたのです。
人間の本質は、響き合うもの、共鳴し合うものであり、夜空に輝く星々、宇宙とつながり、共振することができる――。何と魅力的な生き方でしょうか。
それこそ、私たちをゴールデンパスへと導いてくれる鍵であり、科学万能の時代を超える新たな時代の生き方であることを思わずにはいられません。
年末年始のひととき、『共鳴する魂――書の響き、宇宙の響き』に収められた珠玉の言葉の響きに耳を傾け、新たな年を開くエネルギーをチャージしてゆきたいものです。
本書は、GLA各本部・ターミナルでお求めいただけます(書店でのお取り扱いはありません)。
(編集部N)
『ゴールデンパス──絶体絶命の中に開かれる奇跡の道』(高橋佳子・著)
四六判並製 定価 1,980円(税込)