新刊『ゴールデンパス』には、『新・祈りのみち』(高橋佳子著、三宝出版)が幾度か紹介されています(第2章で、ミャンマーで国際医療活動をしている名知仁子さんがスタッフと一緒に『新・祈りのみち』を輪読して気持ちを1つにしていった話[クーデター後の緊迫した今も、名知さんは毎日、『新・祈りのみち』の「解決に向かうための祈り」「山の心を育む祈り」など読んでいるそうです]。また、第5章のウイズダム・パート4で、光転の受発色(心)を呼び出す取り組みとして『新・祈りのみち』が有効であるという話……)。
『新・祈りのみち』は(旧版含め)52万部のベストセラーですが、読めば読むほど、一生かけてもその一端すら理解できないほどの深さと広がりを抱いた本であると思わずにはいられません。
そもそも「祈り」とは何か──。
『新・祈りのみち』の中にこんな言葉があります。
「祈りとは、自分の望みの実現を神仏にお願いすること、そしてそれを叶えてもらうことであると考えている人もあるようですが、それは違います」
「神に対して祈ることは、神に動いてもらうためではありません。それは、私たちがちょうど、神という大地の岸から離れた小舟に乗っていて、とも綱を引いているようなものです。私たちは一生懸命、大地の岸を自分の方に近づけようととも綱を引いています。ところが大地を自分の方に引き寄せるために力を尽くしているつもりでも、実は、その力は、大地のために使われているのではなく、自分自身をその大地の岸に引き寄せるために費やされているものなのです」
いかがでしょうか。まず、多くの人々が抱いている通念──祈りとは自分の願いを神様にお願いすること──が砕かれます。
では、祈ることによって、私たちはどうなれるのか。
『新・祈りのみち』は語ります。
「心を静かにして祈ることができれば、私たちの心は安らぎます。宇宙と自然の息に、私たちの息を乗せ、手を合わせたり、指を組んだりして、心を一つにすれば信じられないようなことも起こってきます。動揺した心は落ち着きを与えられ、感情的になった気持ちは鎮められ、迷っていた心の意向は定まり、力なく沈んだ心は活気に満ち、苦しみ傷ついた心は勇気と力をもたらされます。そして、そればかりか、嫌なもの、避けたくて仕方がないものをも包み込んで、やがて愛に変えてしまう力さえ与えてくれるのです。真珠貝が自分では消化吸収できないような砂粒を呑み込んだとき、それを吐き出さずに大事に包み抱いて、やがて美しい真珠にしてしまうように──」
さらに、
「私たちは、祈りによって自分が一体何者であったのかを思い出すことができるのです。自分が、この世界に対してどうはたらかなければならないのか。自分の魂が今、何を必要とするのか、いかなる障害が起ころうとも、それにどう耐え、どう乗り越えてゆくべきかを知らせてくれます。いかなるときも、自分にとって本当に大切なものを思い出させてくれるのです」
祈りは、願いごとが叶うようにお願いすることではなく、「自分が何者であったのか」「自分にとって本当に大切なもの」を思い出させてくれるもの──なのですね。
さらにこのように書かれています。
「祈りは、あるがままの世界の秘密があらわになっている次元に至る道であり、私たちが本来神と一つ、一体であることを思い出す瞬間そのものなのです」
つまり、祈ることによって、私たちは「本当の自分」──「神と一体である自分」を思い出すことができる──。
あまりに次元が高い話にも聞こえますが、しかし、このようにも記されています。
「私たち人間が生きてゆくには、呼吸をしなければなりません。空気は私たちの周囲に満ちていて、空気はひとりでに私たちの中に入ろうとしています。呼吸をすれば空気は私たちの中に入ってきて、私たちに必要な酸素をもたらすのです。私たちの存在、霊が必要とする祈りもまったく同じではないでしょうか。祈りは、私たちの存在にとって最も必要で、最もありふれた自然なものなのです」
計り知れないほどの深遠さを湛えながら、もっとも身近な営みである「祈り」──。
以上は、『新・祈りのみち』の最後のパート「祈りについて」からごく一部を引用した文章ですが、このパートは、思わず全文を引用したくなるほど、どこまでも深く透明な輝きに満ちた言葉があふれています。機会があれば、ぜひご一読をオススメします。
『新・祈りのみち』は、「魂の学」を学ぶ多くの方にとって座右の書です。
私自身は、日々、「こころに祈る」のパートで自らの心を見つめるだけでなく、ときどき、冒頭の「はじめに」や巻末の「祈りについて」を読み直すようにしています。
すると、そのたびに、祈りとは何か、そのいのちを思い起こし、心新たに刻印することができるように感じます。そのことによって、日々、祈りとの向き合い方を改めて見直し、新たな気持ちで深めてゆく手がかりが与えられるように感じるのです。
(編集部N)
『ゴールデンパス──絶体絶命の中に開かれる奇跡の道』(高橋佳子・著)
四六判並製 定価 1,980円(税込)