『ゴールデンパス』には、何度も繰り返し味わいたい言葉、いつまでも心に留めておきたい珠玉の言葉が、至るところにちりばめられています。
編集を担当させていただいた私自身、出版前に何度も原稿に目を通しているにもかかわらず、実際に本が出来上がって読んでみると、書かれている言葉の数々に初めて出会うような新鮮な驚きと感動の連続なのです。不思議なことです。世の中には無数の本があふれていますが、こういう本に巡り会うことはなかなかありません。
たとえば、こんな言葉があります。
「青写真を抱くことなくその世界を生きてゆくとしたら、それは無謀に過ぎるかもしれません。なぜなら、青写真=イデアは、破天荒の海の彼方に輝く灯台の光であり、混沌とした霧中の頭上に輝く北極星と言えるからです。私たちにとって、確かな青写真を見出し、それをめざして歩むことが、どれほど重要でしょうか」(P159)
この言葉に触れるたびに、「破天荒の海の彼方に輝く灯台の光」、そして「混沌とした霧中の頭上に輝く北極星」の情景、その場の気配、空気感がありありと心に浮かんできます。
すべてを呑み尽くすほど荒れ狂う波の音。
四方八方何も見えず、自分がどこにいるのかさえわからない濃霧。
恐怖と不安をかきたてるリアルな感触とともに、それらの遙か彼方に輝く光がどれほど有難いものなのか。奇跡の救いとさえ思えてきます。
著者は、その光こそが「青写真」であり、それをめざして歩むことの大切さを訴えています。
青写真とは、それほどのものだったのか――。この世は、まさに破天荒の海であり、混沌とした霧が立ちこめる場所。遙か彼方に輝く光=青写真を見つけ、そこをめざして生きなければ、人生は方向を見失って漂流し、「こんなはずではなかった」と後悔するのは必定ではないか。日々、少しでも前進して生きてゆこうとするなら、常に青写真を求め続け、そこに向かう努力が絶対に必要なのだ……。
そうやって想いを巡らしていると、これまで自分の中にあった「青写真」のイメージが次第に崩れ、より確かな「青写真」のイメージが現れてきます。
それが、明日、新たな青写真を心に描いて、新たな一歩を踏み出すエネルギーを与えてくれます。
これは、ささやかな体験に過ぎませんが、『ゴールデンパス』は、読めば読むほど、味わえば味わうほど、思いがけない宝物を手にすることができる本だと思います。
心に響いた言葉、大切だと思う箇所にマーカーを引いたり、ノートに書き写したりして、繰り返し味わい、反芻することをオススメします。
私自身は、感動したところにマーカーを引いたり、気がついたこと、感じたことを書き込んだりしているので、本が自分自身の大切なノートのようになっています。
(編集部N)
『ゴールデンパス──絶体絶命の中に開かれる奇跡の道』(高橋佳子・著)
四六判並製 定価 1,980円(税込)