新刊『ゴールデンパス』のカバーデザイン、シンプルでなかなかステキだと思いませんか?
(「この黄色いものは何ですか?」と尋ねる方もおられますが、これはもちろん、光り輝く道、ゴールデンパスのイメージです)
実は、この『ゴールデンパス』のデザインが最終的に出来上がるまでには、長い、長い、試行錯誤の道のりがありました。
今回は、最初に、高橋先生が『ゴールデンパス』というタイトルに決めてくださったので、この言葉が唯一の手がかりとなり、出発点となりました。
まず、ゴールデンパスに関係するようなイメージ、ヴィジュアル、写真などを手当たり次第集めるところから始めました。インターネットで検索したり、あちこちの書店を回ってデザインのトレンドを調査したり、また、街角の建築物や広告・看板など、あらゆるものを眺めたりしながら、ゴールデンパスの青写真のかけらがないかを徹底的に調べ、参考になりそうな素材を集めてゆきます。その数はおよそ数千。
そんな地道な作業を来る日も来る日も続ける中で、やがてあるとき、「こういう感じはどうだろう?」といった1つのイメージが浮かんできます。
そして、編集者、カメラマン、デザイナーが議論を重ねながら、そのおぼろげなイメージを形にしてゆきます。
しかし、出来上がったものを眺めると、「うーん、何か違うよね」「どうもしっくりこない」「これだ!っていう感じじゃないよね」……ということで、また一からやり直し。新たなイメージにチャレンジします。
その作業を何度も繰り返し、やがて「デザイン案」が10、20、30……とつくられてゆきました。そして、ようやく「こういう感じかな?」という感触が持てたとき、著者の高橋先生に提案させていただきました。
その提案ファイルをご覧になった先生は、1つ1つの案について、どこがよいか、どこがよくないか、具体的なコメントを下さいました。そして、その中から3つほどの案を選ばれ、それらをさらにブラッシュアップするにはどうすればよいかを指南してくださったのです(実は、この段階まで来るのが本当に大変なのです。過去、提案ファイルの案が「全滅」し、また一からやり直さなければならないことも少なくありませんでした)。
先生のご示唆によって方向性が見えてくると、その後は、ある意味で一点にエネルギー集中してゆくことができます。
今回は、その3案をさらにブラッシュアップし、それを再び先生にご検討いただき、最終デザインが決定しました。
スタッフ一同、「本当によかった!」と心から安堵し、「青写真」にアクセスすることがいかに大変であるかを改めて心底実感していたとき、先生より、出来上がったばかりの第3章のご原稿を頂きました。さっそく拝読して、思わず目にとまったのが、青写真「アクセスのための3つの心構え」(1.青写真を信じる、2.持続する意志、3.必然の自覚を持つ)。
「ああ、これだ!」。まさにこの3つの心構えが、本のデザインをつくる上でも絶対に必要であり、逆に、この心構えをしっかり持って取り組むことが、青写真に到達する最短コースであることが、深い実感とともに胸落ちしました(できれば、もっと早く知りたかった!)。
次回、新たな本を制作させていただくときは、もっと短時間で青写真にアクセスできるようになりたいと決意を新たにしています。
(編集部N)
『ゴールデンパス──絶体絶命の中に開かれる奇跡の道』(高橋佳子・著)
四六判並製 定価 1,980円(税込)