紺井一郎さん(医療法人社団紺井医院理事長)
第1章「2つの扉のどちらを選ぶのか」で紹介されている小児在宅医療の前田浩利さん(医療法人財団はるたか会理事長)の実践には涙が出ました。
私は小児科医ではありませんが、認知症の高齢者の方を診ることがあります。重度の認知症になると、介護する家族が疲弊してしまうのが普通です。
同じように、小児在宅医療の現場で、重い病や障がいのために見守りが必要な、命の時間が限られているお子さんに対して、前田さんが、「この子が世界に生まれてきた理由がある」とお子さんを魂として受けとめ、お子さんとそのご家族が自宅で過ごせるかけがえのない時間を支え、癒やしてゆくお話には、本当に心打たれました。「私も、重い病の方を魂と受けとめて、深く出会ってゆきたい」という想いが喚起されました。
また、第7章「『する』を連ねる」を読み、「まだ自分の生き方は甘かった!」と痛感しました。これまで「高齢者の方々に元気に使命を果たしていただくための医療を提供したい。身体が不自由になったときは、生活や心のお世話をしたい」と願い、老人ホームの立ち上げなどもしてきましたが、できるのにしていないことがあることが見えてきました。ぜひこれから挑戦してゆきたいと思います。
この本は、医療従事者、家族を介護している方はもちろん、多くの方に、ぜひ読んでいただきたい1冊です。