今日4月15日は、レオナルド・ダ・ヴィンチの誕生日(ユリウス暦)。
『モナ・リザ』『最後の晩餐』などを描いた画家として、また、彫刻、建築、科学、音楽、数学、工学、文学、解剖学、地質学、天文学、植物学、筆記学、歴史学、地図学などあらゆる分野に業績を残した天才として知られている人物です。
『ゴールデンパス』には、このように記されています。
「16世紀のルネサンスの天才、レオナルド・ダ・ヴィンチは、自らの手帳に、時代を超える斬新なアイデアを数多くスケッチしています。計算機や戦車、ハンググライダー、ロボットやヘリコプターのようなものまであります。当時の人には、何のことかわからないものもあったでしょう。
でも、その後の時代、どれほど多くの人々が、彼が遺したスケッチをワクワクする想いで眺めたでしょうか。過去のダ・ヴィンチが描いたものでありながら、人々が触発されていたのは未来──。そのスケッチにインスパイアされ、『生み出したい未来』をどれだけ想像したことでしょうか。そこには間違いなく、未来の青写真のかけらがあふれていたと思うのです」(P149-150)
では、500年前のレオナルドは、どんなスケッチを遺しているのでしょうか。
少しご紹介しましょう。
これは「空気スクリュー」を回転させて空を飛ぶ機械のスケッチです。
まさに現代のヘリコプターを思わせますね。ヘリコプターが空を飛ぶ原理とは異なるとのことですが、彼は、空気という流動体をかきわけて進む原理を熱心に研究していました。
次は、飛行機のスケッチです。
レオナルドは、どうしたら人間が空を飛べるのか、鳥や昆虫の飛び方を深く観察しながら、考察を重ね、手記にはその試行錯誤の痕跡が残されています。
実際に人類が空を飛べるようになるには、さらに数百年の歳月が必要でしたが、当時のレオナルドはあらゆる努力を尽くしてその青写真に迫ろうとしていたのでしょう。
これは、自動車のスケッチです。
その構造は極めて複雑、精緻に設計されていて、多くの研究者によって全貌が解き明かされるまでに100年以上かかったとのことです。
これは何だと思いますか?
自動演奏する太鼓です。町を歩く楽隊用として、あるいは戦場で兵士を鼓舞するために考案されたのではないかと言われています。リズムや音の強弱も調節できるとのことです。
以上はほんの一例で、レオナルドの手稿は、現在、約8000枚が現存しているそうです(さらに、その2倍以上が散失してしまったと推測されています)。ものすごい量ですね。
彼のスケッチをCGで再現することに取り組んでいるデザイナーは、こんなことを言っています。
「レオナルドが私たちに遺した遺産は、尽きることのないアイデアと直観の宝庫である。まったく、この偉大な科学者の全貌をつかむことは至難の業だ。だれもが知っている発明品にも、世界中で展示された精巧な復元模型にも、実はまだ解明されていない点がたくさん残されている。だからこそ、はるかルネサンス時代の機械に、今日も研究者たちは驚きの声をあげているのだ」「レオナルドのスケッチを丁寧になぞってゆくと、すべてがしかるべき位置にぴたりと収まるのだ。これほど精確な域に達した研究がかつてあっただろうか」(同書)
レオナルド自身は、こんな言葉も遺しています。
「この宇宙には、様々な形があり、様々な色があり、様々な性質を持った物が溢れている。だが、そのすべては、ある一点に集約される…それは驚くべき一点だ。
驚いたことに、すべては必然なのだ。すべては自然の法則がはたらいた結果、必然として生まれた。一切、無駄はない。まさに奇跡だ」(『知をみがく言葉 レオナルド・ダ・ヴィンチ』青志社)
未来の青写真を求めて人間的努力をきわめたレオナルドが、宇宙自然の姿に完璧な青写真具現のさまを読み取った感動が伝わってくるようですね。
圧倒的なエネルギーで斬新なアイデアを考え続けたレオナルド──。
その原動力は、人間を超えた大いなる存在・神が抱く青写真への限りない憧れと畏敬の想いだったのかもしれません。
様々な草木が芽吹き、自然がその内なる設計図(青写真)を現しているこの季節──私たちも、自らの人生の青写真に想いを馳せるひとときを過ごすのもよいのではないでしょうか。
(編集部N)
『ゴールデンパス──絶体絶命の中に開かれる奇跡の道』(高橋佳子・著)
四六判並製 定価 1,980円(税込)