なぜ人は、これほどの不自由と不条理を抱えながら、人生を歩まねばならないのか。
──誰もが人生の中で立ち止まり、天を仰いで自らに投げかけた人生への問いかけ。本書は、人間の不条理そのものに向かい合われた方々の魂の軌跡が描かれている。そしていかなる不条理をも包容し、死をも支える永遠の次元、不滅の世界とのつながりに目覚めるとき、人生に隠された意味を知り、その真実に触れることができると明かされる。一つ一つの物語が、深い神秘に彩られた人生の重みと深みを、私たちに切々と語りかけてやまない。
内容の一節
耐えがたい重荷を背負った時、如何ともしがたい悲しみと苦悩をわが身に引き受けた時、人は自らの源に、自らが自らであるゆえんに戻ることへと誘われます。自らを支えている絆に改めて根ざすことへと誘われます。
人生に身を切るような寒さの冬を想うとき、どうかあなたの心の奥に響くこんな声に耳を傾けてください。
「共に往こう──。この凍てつく冬にこそ咲く花を探しに」
人々の上に降りかかるどのような苦難も、無意味なものはありません。その人が引き受けられないほどの重荷を、神が背負わせることは決してないのです。そしてそう見守り、導く方があるということを、どうか忘れないでいただきたいと切に願うばかりです。(「冬の花」163頁)