専門家のコラム
神谷純子さん
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「困った子」の心の奥には光がある
神谷純子さん
帝京科学大学 教授・博士[社会学]
大学の教職課程に勤め、学校の先生をめざす学生たちと共に、子どもの「育ち」を探究している神谷純子さん。『心の光を見つける12の物語』の「読み聞かせ」によって表れた子どもたちの変化が、大人たちにも新たな「気づき」をもたらしてくれると語られます。
この絵本の「読み聞かせ」は、子どもの中にある心の光に気づかせてくれる
私の専門は、教育社会学です。「誰もが自分らしく生きられる社会」をつくることをめざして、主流から外れて生きざるを得ない人々や子どもたちが、共に生きる社会のあり方を研究しています。子ども食堂や特別支援学級、日本語教室など、子どもたちが育つ場に、人と「違う」ことが豊かさにつながるような空間をつくってゆきたいと願っています。
コラムイメージ写真
「この絵本で育まれた子どもたちは未来を変えると思います」と
語る神谷さん
幼い頃、母は私によく絵本を読んでくれました。今もそのストーリーや挿絵が思い浮かぶ絵本が何冊もあります。大好きな絵本は内容を覚えてしまい、まだ文字が読めないにもかかわらず、母の「読み聞かせ」に合わせてページをめくっていたと、後に聞いたことがあります。そうした母との思い出の1つ1つが、今の私をつくっていると言っても過言ではありません。
『心の光を見つける12の物語』は、自然をモチーフにした12の心が、それぞれの祈りと語りかけを通じて、子どもの心にはたらきかけます。子どもたちは、絵本の「読み聞かせ」を通じて、自分の心と出会います。そして、その心の光が行動や言葉となって表れ、「読み聞かせ」をする大人の心を動かすことがあります。
「何度言ってもわからない」「何でこの子はこうなんだろう」──。日常的に子どもたちに接している親御さんや先生方なら、そのような想いを抱くことが多いのではないでしょうか。そんなとき、この絵本の読み聞かせによって表れた子どもの心の光に、はっとさせられたという報告が数多く寄せられています。
私の知人の小学校教諭S先生もそのお1人です。
S先生が担当する児童に、多動の傾向が強く見られるT君がいました。一瞬たりともじっとしていられず、教室を歩き回ることも多いT君に、学校の先生方は日々対応に追われていたそうです。S先生は、きっとT君は自宅でもたくさん叱られているのだろうと思っていました。
ある日、S先生は子どもたちに、『心の光を見つける12の物語』の中から「月の心」の読み聞かせをしました。そして、「お母さん、お父さんのいいところ、『光探し』をしてみようよ」と呼びかけると、T君は即座に「僕はお母さん、お父さんに『ありがとう』だよ。子どもが3人もいるのに、いろいろやってくれる」と答え、満面の笑みで、「僕の周りには優しい人がいっぱいだ!」と言ったのです。T君の内なる心の光に触れたS先生は、「T君を『いろいろとやらかす、大人を困らせる子』と見ていた自分のまなざしにはっとした」と語っていました。
どんなに「困った子」に見えても、その心の奥には光があります。この絵本の読み聞かせは、子ども自身がその心の光に出会うとともに、関わる親御さんや先生方にも、子どもの心の光に気づかせてくれます。
今晩の読み聞かせが、お子さんの心の光に出会う、温かなひとときとなりますように。