「私たちが、私たちの出会う世界と人生をより深く愛することができますように――。昨日よりも今日、今日よりも明日、より深く人々と出会いかかわることができますように――」。本書は、著者高橋佳子氏のこのような祈りのもと、氏が出会った人々の人生の物語が描かれている。市井に生きる人々の人生の重さと痛み。永遠の生命の次元は、それらすべてを知り、慈しんでくださっていた――。一つ一つの物語がその真実を伝えてくれている。
内容の一節
私たちの世界に存在するものすべては、手に余るほどの深みを湛えています。ましてそれが人間の痕跡を残すものなら、そこには人生の切ないひだが刻まれ、光と闇を孕んだ遥かな魂の物語が秘められているのです。
私たちが触れる現実、恵まれる出会い、降りかかる事件、私たちを包み動かす運命と時代の風‥‥。そこにどれほどの喜びと悲しみが満ち、どれほどの願いと業が交錯してきたのか――。そのすべてをもって、私たちの人生は織りなされてゆきます。(「あとがき」252頁)