釈迦の出城から悟りへと至る過程を美しいイラストと共に描いた小学校高学年から大人向けの絵本。1981年、ボローニャ国際児童図書展出品作。
内容の一節
シッタルダーは、ハッとしました。
あさもやをついて流れてくる若く、すんだ、女の美しい声が、シッタルダーの心をゆり動かしたのです。 彼は、全身耳にして、その歌声にききほれました。
そして心のなかで、
「げんのねは なかほどに しめて ねいろがよい」
という歌を、くりかえし、くりかえし、心のなかで、つぶやきました。
「わかった。ああ、やっと、わかった」
シッタルダーの悩みは、ついに、はれました。
(本文31頁)